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Home > edgeR-エッヂあ~る- > 環境との親和性を考慮した、新しい建築デザインに挑む 南 泰裕
エッヂあ~る

南 泰裕 准教授 
南 泰裕 准教授 

「建築」と聞いて、何をイメージするだろうか。工事現場の建設作業か、もしくは物理の図形を重ねたような設計図か、あるいはテレビや雑誌でみる有名建築家のつくるオシャレな建物か。今回は様々な分野が融合する総合科学、「建築学」の研究者へインタビューした。

元々そこにある自然を使う

常にデザインについて考えられる研究室
常にデザインについて考えられる研究室

南さんは、自然環境の延長線上において建築を総合的に捉える、「親自然的な建築」のデザインを研究する建築家のひとりだ。例えば太陽熱を利用するシステムとして、「アクティブソーラー」、「パッシブソーラー」という考え方がある。アクティブソーラーは、屋根に太陽電池や太陽熱温水器等を設置して、太陽エネルギーを電力や空調、給湯に生かす技術で、機械を利用して積極的に太陽エネルギーを取り入れるシステム。一方パッシブソーラーは、ガラスや壁に効果的な蓄熱材を用いることで、夏であれば熱が入らないように、冬であれば熱が逃げないようにするなど、機械力を使わず受動的に太陽エネルギーを利用する。 どちらのシステムにも共通なのは、科学的視点を持つことで建築を高度化し、環境と建築との関係を新たに捉え直そうとしている点だ。

科学技術を組み合わせる

様々なテクノロジーの知識が求められる建築デザイン
様々なテクノロジーの知識が求められる建築デザイン

現代建築は、テクノロジーなくしては成り立たない。しかし、テクノロジーに囚われ過ぎてしまうと、逆に好ましくない結果になることもある。例えばエアコンなどの空調設備は、建物の内部の快適さを求めて急速に普及した。その結果、廃熱によって周囲の気温が上昇するという結果を招いてしまった。 南さんは「様々な技術・素材を柔軟に組み合わせて使う、マクロで総合的な視点が必要」と語る。太陽電池や屋上緑化技術、高強度のコンクリートや、軽くて強固なプラスチックなど、次々と発明される最先端の技術。それらの特性を科学的に理解し、単に局所的・機械的に利用するのではなく、周囲の環境全体の中で適材適所に用いること。それにより、快適で豊かな空間を目指しながらも、自然環境との親和性を高めていく可能性が生まれるのではないか、という。

時代が求める「建築」のあり方

研究で作られたジオラマ
研究で作られたジオラマ

「環境にやさしく」というのは現代社会の要請だが、時代の要請に合わせて技術を用いることは、なにも今に始まったことでない。英語でいう建築「アーキテクチャー」は、古代ギリシャ時代における「アルケー」と「テクネー」が合わさったものだ。アルケーは原理や主義など、英語でいうとプリンシプル(principle)にあたる言葉で、テクネーはテクノロジー、今でいう科学技術にあたる。つまり「建築」には、昔から文化的・哲学的な側面と、科学的・技術的な側面の両方が含まれていた、ということだ。 ローマ帝国や中世の時代、「ヴォールト」と呼ばれる半円形天井をつくる技術で建てられたのは、巨大で荘厳な空間を持つ、「神殿」や「教会」だった。そして近代科学が急速に発達した20世紀は、環境から隔絶された内部空間をいかに快適にするか、ということが時代の要請する「テクネー」となった。屋内の温度を調節し、電化製品による便利な生活を追及した半面、エネルギー消費が増大し、環境破壊やエネルギー問題が生まれた。南さんは、サスティナビリティ(持続可能性)やエコという現代社会の要請を視野に入れつつ、古くから繰り返しテーマとなっている様々な「アルケー」と、最先端の「テクネー」を掛け合わせ、新しい建築デザインへと取り組んでいる。 そのデザインの鍵を握るのは、学生たちだという。

学生と考える「建築」

建築は、大工や設計者、クライアントなど、様々な人が関わってでき上がる。だから、他人の意見を引き出し、組み合わせ、協働していく姿勢が欠かせない。「建築は、学生たちの考え方を醸成させて、一緒に作り上げていくお祭りのようなもの。みんなで恊働して取り組んだ方が、ひとりで考えるより、結果的にいいものができる。そこがすごく面白いところ」と言う南さん。日々、学生たちと繰り広げる祭りの中から生まれた新しい親自然的建築が、私たちの目に触れる日も近いかもしれない。

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