初めまして、リバネスの須永です。寒さも厳しくなってまいりました。冷え性の身としては、つらい季節です。みなさんはどんな防寒対策をしていますか?厚着や使い捨て
カイロ愛用者が多いのでないでしょうか。使い捨てカイロの手軽さは便利ですが、保温性や熱量に不満を覚える人もいるのではないでしょうか。私もそんな中の一人でした。しかし、5年前に、そんな不満を解消してくれる素敵な「カイロ」に出会って以来、私はこの子に夢中です。今日はみなさんに、私のお気に入りの「白金触媒式カイロ」をご紹介したいと思います。
■ストーブを手軽に懐へ
まずは、下の図1を見ていただきましょう。
本体は真鍮製です。大きさはタバコの箱よりも1周り小さいという所でしょうか。
こんなに小さいにも関わらず、この子は1回25ccの燃料補給で24時間暖かさを保ってくれます。燃料は、ベンジンです。ベンジンと聞くと、水洗いできない洋服や着物の汗じみをとるときに、お母さんやおばあさんが使っているのを思い出す人もいるのではないでしょうか?
この白金触媒式カイロ、放出する熱エネルギーは使い捨てカイロよりずっと多いそうです。裸のままでは熱すぎて、本体を触ることもできません。使用するときは、本体のサイズに合うフェルトなどの厚い布でできた袋に入れて使います。カイロ本体の表面温度はおよそ70℃、内部の温度は130℃から350℃。まさに、「懐」に入る「炉(ストーブ)」なのです。
図1
■白金触媒による酸化反応がポイント
現代の主流である使い捨てカイロは、鉄の酸化熱を利用しています。使い方は、袋から出すだけです。しばらくすると、使い捨てカイロと空気中の酸素による、酸化反応がスタートして、発熱を始めます。持続時間は、8時間のものが多いようです。
一方、白金触媒式カイロはどのような方法で熱エネルギーを得ているのでしょうか?
実は、火口についた綿のような部分に白金触媒式カイロの秘密があります。この綿のような部分は、微粒子化させた白金をガラス繊維表面にコーティングしたものなのです。ちなみに、白金とは、プラチナの日本名で、貴金属として有名な、あのプラチナと同じものです。化学の世界では触媒の代表格として、活用されています。
これまでに何度も「触媒」という言葉が出て来ていますが、どんな物質を指すのでしょうか?触媒とは、化学反応の前後で、自分自身が変化することなく化学反応速度を促進する物質を指します。
ライターでこのガラス繊維をあぶり、温度を上げ、反応のきっかけを与えることによって、微粒子化した白金が気化したベンジンの燃焼を促進する触媒として機能するのです。したがって、脱脂綿にしみ込んだベンジンが燃えているというわけではなく、気化したベンジンが火口においてのみ、燃焼しているのです。
つまり、白金触媒式カイロとは、白金触媒によって発生するベンジンの燃焼熱を利用したカイロなのです。触媒反応なので、ベンジンの中の炭素と水素が酸化した結果、二酸化炭素と水のみが発生します。不完全燃焼によって、一酸化炭素が生じることはありません。また、白金は触媒なので、反応が起こっても、減ることはありません。ベンジンを補給すれば、何度でも使うことができるのです。
ところで、なぜ白金は触媒として有能なのでしょうか?白金表面は、酸素原子や有機化合物をその表面へ吸着させるという性質を持っているためだと言われていますが、最終的な結論はまだ出ていないようです。また、この吸着させるという性質の源もわかっていなそうです。
■白金触媒の長い歴史
この技術、なんだかハイテクな気がしてきませんか?実はハイテクの正反対にあると言ってもいいほど、白金触媒式カイロの歴史は、長いのです。発売は1923年、なんと81年前です。1980年代には、現在の主流である使い捨てカイロよりも、一般家庭にとって身近な存在だったようです。
この白金触媒式カイロ、燃料補給やライターの用意など、面倒さはありますが、とにかく長時間、非常に暖かい。触媒である火口は、炭素等の汚れが付着するにつれて、反応の能率が落ちるため、定期的に取り替える必要があります。しかし、本体は、物置から出てきた30年前のものでも、新しい火口をつけてあげることによって、使えてしまったという話もあるそうです。こんな味わい深い白金触媒式カイロ、そこの冷え性のあなたも使って見ませんか?