樹木は、太陽の光を浴びてどんどん木質部分を積み重ね、幹を太らせていきます。その形成層の活動は、気温の高まる春から夏にかけて活発になり、秋から冬にかけて働きがにぶくなります。活動が活発になっている時の形成層では、細胞分裂が盛んに行われ、たくさんの細胞が集まります。一方、あまり成長しない時期は、細胞の数が少なくなります。
これらを組み合わせた層が「成長輪」。その成長輪が一年の周期で出来る場合を「年輪」と呼んでいるのです。
日本は、四季の移り変わりがはっきりしているため年輪ははっきりと刻まれます。しかし、赤道付近の年中高温多湿の熱帯雨林地帯では、年輪のないものやはっきりしないものが多く見られます。
しかし、熱帯地域でも乾季と雨季があり季節の変化がはっきりしているところでは、この年輪を見ることができるのです。
さて、年輪と気候との関係を最初に研究し始めたのは、アメリカの太陽物理学者A.E.Douglassさん。太陽にある黒点の動きと地球上の気候と関係しているのではないかと考えた彼は、年輪年代学を確立。1920年代のことでした。年輪を調べ、その周辺地域・年代・樹種別の「年輪データバンク」なるものを作成していくことで、膨大に蓄積されたデータ量から過去の気候変動を探るのです。
1980年代に入ると、年輪の幅の広さを指標として過去の気候を探る年輪気候学も進展していきました。
日本ではちょうどその前後で、土壌汚染や公害による樹木の枯損が社会問題となり、ようやく本格的にこれらの手法を用いた研究が始まりました。
現在では、世界中のあちこちで、環境保全が大きく注目されるようになりました。
年輪学はこれからますます活躍することになるでしょう。