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アメリカ航空宇宙局NASAが打ち上げた無人探査機「スターダスト」が、『ヴィルト第2彗星(81P/Wild 2)』から採取したサンプルの中に、すべての生物の基本的な構成要素であるアミノ酸の一種、グリシンが含まれていたことが確認された。
(2009年8月16日付けNASAプレスリリースより)
これは、我々が住む地球以外にも生命体が存在する!という仮説を裏付ける大発見になるかもしれない。

ほうき星として知られる彗星(すいせい)は、太陽系が誕生したときに残された、岩石とちりにまみれた氷と凍ったガズの塊。この塊のまわりをガスの雲が取り囲む。尾にみえる光は、太陽に近づいた時の太陽熱と風によって、ガスやちりが飛ばされるため。
数十年から何万年かけて太陽系外周部から太陽まで通るため、太陽系形成の過程や生命の起源にかかわる手がかりが得られると期待されている。
この彗星のちりを持ちかえり調査をするというのが、アメリカ航空宇宙局NASA「スターダスト計画」の使命。無人探査機「スターダスト」は1999年に打ち上げられ、2004年1月に『ヴィルト第2彗星(81P/Wild 2)』に接近してちりを採取、2006年1月に地球へ帰還した。
見つかったのは、生命を形作る基本要素のひとつ「グリシン」。

タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のなかでも、最も単純な形をもつ。宇宙でアミノ酸が発見されたということは、地球以外にも生命が存在する可能性を示している。だが、そのためにはグリシンが、完璧に彗星由来であることを証明しなければならない。
そこで登場したのが炭素同位分析。
同位体は、知ってのとおり異なる質量をもつ原子どうしのことをいう。陽子の数は同じだが、中性子の数は異なるため全体の重さが変わる。6つの陽子と6つの中性子を持っている炭素原子N12は、7つの中性子を持つN13より質量が少ない。地球上の物質に含まれる炭素の同位体比は、N12 :N13≒99:1で、N13はほとんどない。
一方、回収されたグリシンは、地球に比べて大量のN13を含んでいた。この結果が、彗星由来であることを裏付けることとなったという。実に、「スターダスト」地球帰還から3年が過ぎ去ろうとしていた。
NASA宇宙飛行センターの研究者Jamie Elsilaさんは、「大量のN13を含んでいるのは、宇宙の紫外線を浴びて変化したからなのではないか」と話しているという。
約38億年前に、何万もの天体が地球に衝突したとする説がある。だが、その天体の正体が、彗星なのか小惑星なのかは長年分かっていなかった。
2009年8月デンマークのニールス・ボーア研究所が、古代の岩石に含まれる特定の金属の含有量から、地球に衝突したのは彗星だと推定。降り注いだ彗星から水が溶け出して、地球の最初の海を形成したのではないかと話している。
もしこの彗星のなかに、今回発見されたグリシンのような生命をつくる基本的な構成要素が含まれていたとしたら‥、
高校の教科書にも出てくる原子の同位体は、こんな最先端の研究現場で利用されているのだ。