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ニュースソース:理化学研究所:代謝産物から「体内時刻」を簡便かつ定量的に測定する新手法を確立
ヒトを含め、微生物やイネ、など多くの生物のゲノム(全DNA配列情報)解読された今、これまでの生物学で行われてきた細胞内の現象に関わる役者の同定という時代の次に来る、生命科学が期待されていた。エネルギー合成、DNA複製、転写といった細胞内での現象を、諸々の因子の挙動の総体として理解する、新しい生命科学「システムバイオロジー」の一つの成果が、上田泰己さんをリーダーとする理研のチームによって発表された。
【写真】上田泰己さん by incu-be
人間やマウスなどの哺乳類は、体内時計と呼ばれる24時間周期の体内のメカニズムがある。例えば、このリズムに従って、夜は体温が下がって眠くなったり、昼間は体温が上がって活発になったりする。海外旅行などで、時差の大きな地域へいくと、昼間に眠くなったり、、夜目が冴えたりと、生活のリズムが乱れてしまうのは、このためだ。これまで、「今、体は何時の状態なのか」を簡単に診断することはできなかった。しかし今回、血液を採取して、その成分を分析するだけで、体内時刻を診断する方法が開発された。
チームは、マウスの血液を1日のさまざまな時刻で採取し、1日の内に変化する多数の代謝産物量を、分析し、24時間周期的で量が変化する物質を数百個明らかにした。それらを時刻順に並べ替えた「時刻表」を作成し、適当な時刻にマウスの血液を採取して、この時刻表に照らし合わせてたところ、体内時刻を正確に測定できていることが確認できた。さらに、マウスを飼っている飼育棚の電灯をそれまでよりも8時間早く点灯して、朝が早くやって来るような状態(8時間時差のあるところに旅行することを模した状態)にして、時差に体内時計が順応していく様子を確かめた。初日には、元の環境の時刻にあったが、5日目に測定を行うと、体内時刻と外界の時刻との差が約4時間に短縮していることが確認できた。14日目には、行動リズム、体内時刻ともに新しい明暗周期に順応してたことがわかり、この測定法が、時差ボケの確認にも適応できることがわかった。
この研究成果は、新しい「時間治療」と呼ばれる分野に大きな成果が期待される。時間治療とは、体内時刻を考慮して治療を施すと、最適な効果が得られるという考え方だ。これまで、正確に体内時刻を測定するために長期間の拘束と連続した組織採取が必要であるなど、容易ではなかったが、今回の測定法が人間にも応用されることで、時間治療が一般的に広まることが期待されている。
今回の方法は、新しい治療技術の開発にも繋がるとともに、生体内の分子を包括的に捉えていく「システムバイオロジー」という、新しい時代の生物学へ向けたひとつの成果としても意義のある結果と考えられる。
上田泰己さんへのインタビュー記事はコチラ
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